腎疾患・肝疾患・糖尿病・人工透析の障害認定基準
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2020.08.10
腎疾患・肝疾患・糖尿病・人工透析の障害による障害の程度は、次により認定します
認定基準
豊川・豊橋地区で相談を実施しています。
どうぞ、どんな些細なことでも結構ですのでご相談ください。
腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害は、3つに分かれます。
腎疾患
◆腎疾患(1級)
慢性腎不全及びネフローゼ症候群での検査成績が高度異常を示すもので、かつ、身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就寝を強いられ、活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの。
内因性クレアチニンクリアランス値 単位 ml 10未満
血清クレアチニン濃度 単位 mg/dl 8以上
1日尿蛋白量 単位 g/日 3.5g以上を維持する
血清アルブミン 単位 g/dl かつ 3.0g以下
血清総蛋白 単位 g/dl 又は 6.0g以下
◆腎疾患(2級)
慢性腎不全及びネフローゼ症候群での検査成績が中等度異常を示すもので、かつ、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就寝しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの又は歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの。
内因性クレアチニンクリアランス値 単位 ml 10以上20未満
血清クレアチニン濃度 単位 mg/dl 5以上8未満
1日尿蛋白量 単位 g/日 3.5g以上を維持する
血清アルブミン 単位 g/dl かつ 3.0g以下
血清総蛋白 単位 g/dl 又は 6.0g以下
人工透析療法施工中のもの
障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日(初診日から起算して1年6か月以内の日に限ります。)とされています。
◆腎疾患(3級)
慢性腎不全及びネフローゼ症候群での検査成績が軽度異常を示すもので、かつ、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの又は軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。
内因性クレアチニンクリアランス値 単位 ml 20以上30未満
血清クレアチニン濃度 単位 mg/dl 3以上5未満
1日尿蛋白量 単位 g/日 3.5g以上を維持する
血清アルブミン 単位 g/dl かつ 3.0g以下
血清総蛋白 単位 g/dl 又は 6.0g以下
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肝疾患
肝疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定されます。
◆肝疾患(1級)
肝疾患での重症度判定の検査成績が高度異常を示すもので、かつ、身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就寝を強いられ、活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの。
総ビリルビン 単位 mg/dl 3以上
血清アルブミン 単位 g/dl 2.8未満
血小板数 単位 万/μL 5未満
プロトロビン時間 単位 % 40未満 単位 秒 6以上の延長
アルカリフォスターゼ 10以上,br> 腹水 高度(治療により軽快しないもの)
脳症 Ⅱ度(治療により軽快しないもの)
◆肝疾患(2級)
肝疾患での重症度判定の検査成績が中等度異常を示すもので、かつ、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就寝しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの又は歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの。
総ビリルビン 単位 mg/dl 2以上3未満
血清アルブミン 単位 g/dl 2.8以上3.5未満
血小板数 単位 万/μL 5以上10未満
プロトロビン時間 単位 % 40以上50未満 単位 秒 4以上6未満の延長
アルカリフォスターゼ 3.5以上10未満
コリンエステラーゼ 診療施設基準値に対して明らかに病的な異常値のもの
腹水 中等度(治療により軽快するもの)
脳症 Ⅰ度(治療により軽快するもの)
◆肝疾患(3級)
肝疾患での重症度判定の検査成績が軽度異常を示すもので、かつ、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの又は軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。
総ビリルビン 単位 mg/dl 0.3~1.2
血清アルブミン 単位 g/dl 4.2~5.1
血小板数 単位 万/μL 13~35
プロトロビン時間 単位 % 70~130 単位 秒 10~14の延長
アルカリフォスターゼ 0.8~2.3
糖尿病
糖尿病による障害の程度は、合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害及び糖尿病性動脈閉塞症等)の有無とその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考量し、総合的に認定されます。
人工透析の方の障害年金申請
人工透析を受けている方の障害年金の申請を行おうと考えている方のお力になれればと考えています。
特に人工透析における初診証明を取る作業が一番難しいと思います。
一度は、人工透析の障害年金に精通した社会保険労務士事務所にお問い合わせください。
腎臓病の種類
急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ
腎不全
糖尿病性腎症
尿毒症
IgA腎症
人工透析
人工透析を行うのは、腎臓の働きが正常時の10%以下、血清クレアチニン値が8mg/dl以上になった時です。また、吐き気、嘔吐、食欲不振などの尿毒症が疑われる症状が出た時です。
人工透析には、血液透析と腹膜透析の2つの種類があります。
血液透析
血液透析は、血液を対外に取り出してダイアライザーという装置を使って血液を浄化します。血液透析導入前1か月時に腕に血液の出入口を作ります。
血液透析をおこなっても腎機能を完全に代行できるわけではありません。そのために腎臓が産出する造血ホルモンを注射したり、内服薬などで補う必要があります。
血液透析の目的は、血液に溜まった老廃物を除去し、体内に溜まった余分な水分と電解質を調節し、酸・アルカリを調節して血液のpH値を適正な数値にします。
血液透析の所要時間は、1回3時間から5時間を1週間に3回です。
病院に通って行います。
腹膜透析
腹膜透析は、自分自身の腹膜を使って透析を行います。
腹膜透析を行う前に、手術によってお腹に穴をあけ、カテーテルというチューブ状の器具を設置します。このカテーテルの先を体外に出し、透析液のバッグとつないで透析液を体内に取り込みます。
その間、腹膜を通して体内の老廃物や余分な水分、電解質などが排出されます。
腹膜透析は、CAPD(持続携帯式腹膜透析)とAPD(自動腹膜透析)の2つの種類があります。
CAPDは、透析液の交換に30分ほど時間がかかります。
1日原則4回行います。
APDは、夜間にサイクラーという機械を使って透析液の交換を行います。
腹膜透析の自己管理として、カテーテルの先が感染しやすいので細心の注意が必要となり
ます。
人工透析における初診証明
障害年金を申請するにあたって、初診日がいつであるかを判断することはとても重要です。
初診日における加入要件(国民年金に加入なのか厚生年金に加入なのか)によって、支給される障害年金が、障害基礎年金だけなのか障害厚生年金も支給されるのかが決まります。
そして、初診日の前日において、保険料の納付要件を判断します。納付要件が満たされていない場合は、いくら人工透析を受けている事実があっても障害年金が支給されないことになります。
初診日は、障害の原因となった傷病につき、初めて医師または歯科医師の診断を受けた日となります。
糖尿病が原因の糖尿病性腎症による腎不全は、腎不全が始まったときを初診日とするのではなく、糖尿病の治療で初めて病院に行って診察を受けた日が初診日となります。
糸球体腎炎やネフローゼなどでその後慢性腎不全となり人工透析となった場合は、糸球体腎炎やネフローゼなどの診察を受けた日が初診日となります。
また、同一傷病で転医した場合は、最初の医師の診察を受けた日、健康診断により異常が発見され療養に関する指示があった場合は、健康診断日となります。
障害年金の申請をする前に当事務所までお問い合わせ下さい。
一度申請をして、不支給となった場合は、再度申請をして認定されることは困難になる場合があります。
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